経営改善計画書は、日本政策金融公庫にて借入などを行う場合に使用するフォーマットですが、通常の経営計画書の損益計画・その後の具体策を検討するのにも利用できます。本稿では経営改善計画書の内容について説明を行っております。
目次は以下の通りです。
1.経営改善計画書の位置付け
2.損益計画について
3.借入金内訳について
4.改善に向けた具体策について
1.経営改善計画書の位置付け
経営改善計画書は日本政策金融公庫にて借入などを行う場合に記入するフォーマットです。
フォーマットについてはこちらのページからダウンロードできます。
日本政策金融公庫から借入を行わない場合でも損益計画書、借入金推移表およびアクションプランを作成する時のフォーマットとしても活用できますので、ぜひ、利用して下さい。
特に日本公庫のフォーマットが優れている点としてはフォーマットを記載する際のマニュアルが充実していることかと思います。
事業計画書を作成する場合には大まかには以下のような手順になるかと思います。
①企業の現状把握
②現状を踏まえた計画の作成、損益計画、設備投資計画、資金繰り計画
③アクションプランの作成
企業の現状把握に関しては、ローカルベンチマークを活用するのが良いかと思います。「現状を踏まえた計画の作成」の特に損益計画を作成する際に経営改善計画書は有効です。
2.損益計画について
損益計画の中でも特に売上高計画が重要です。売上計画の根拠は必ず記載しておきましょう。売上計画を作成する際の基本は
客単価×客数
です。客単価を決める主な要因はサービス内容ですから、客単価を計画する事でサービス内容が決まってきます。同様に客数を計画することで、営業計画の基礎ができます。
経営改善計画書フォーマットの損益実績/計画を「図1.損益計画」に掲載します。費用に関しては、売上原価、営業経費(人件費など)を記載します。
図1.損益計画
費用に関して記載する際には、変動費(売上に比例して変動する費用、例:原材料費)と固定費に分けて考えます。変動費に関しては過去のデータを元に比率を算出して記入します。変動費が把握できていない場合には、変動費を計測してみる必要があります。
変動費を把握することでその商品・サービスの利益率が把握できます。実際に計測してみると肌感覚と異なる結果が得られたりして、役立つことが多いです。
3.借入金内訳について
借入金がある場合には、「図2.借入金内訳」欄に入力します。借入金は少ない方が安全と言えますが、あまりにも借入金が少ない経営は別の見方では消極的な経営と言えるかもしれません。
図2.借入金内訳
例えば、経営力向上計画を認定されるために財務状況に関して、
①純資産額が「0」以上であること
②EBITDA有利子負債倍率が10倍以内であること
が求められています。
EBITDA有利子負債倍率は以下の計算式より求められます。
EBITDA有利子負債倍率=(借入金・社債-現預金) ÷ (営業利益+減価償却費)
よって、かなり大まかに表現するとEBITDA有利子負債倍率が10倍とは10年以内に借入金を完済できることを示しています。
積極投資で有名なソフトバンクグループでは2006年に英ボーダフォン日本法人買収直後の連結ネットレバレッジ・レシオが6.2倍とのことです。
ネットレバレッジ・レシオは以下より計算されているようです。
ネットレバレッジ・レシオ=純有利子負債÷調整後EBITDA
純有利子負債=有利子負債-手元流動性
調整後EBITDA=営業利益+減価償却費及び償却費(固定資産除却損含む)+株式報酬費⽤±その他の調整項目
EBITDA有利子負債倍率とネットレバレッジ・レシオの計算式は異なりますが、概ね類似の指標であることが分かります。
4.改善に向けた具体策について
「図3.改善に向けた具体策」のタイトルを確認すると「改善に向けた具体策/実績検証」となっています。そもそもフォーマットが日本公庫の経営改善計画書フォーマットなので、そのようなタイトルになるのですが、本フォーマットを経営計画書として活用する場合にはタイトルはあまり気にしないで下さい。
図3.改善に向けた具体策
ここでは損益計画内で検討した客単価、客数、変動費率などから具体策を記述していきます。例えば、目標客数から月間の販売個数の計画ができるので、その個数をどのように達成するかを記載したり、目標客単価からサービス内容を検討したり、といった具合です。
企業の現状把握に関しては、ローカルベンチマークを活用するのが良いかと思います。現状を踏まえた計画の作成の特に損益計画を作成する際に経営改善計画書は有効です。
当社は経営計画書の作成を支援します。経営計画書は融資・補助金・助成金に活用できます。経営計画書の実施状況を支援し、改善を支援します。
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